【レポート】オーディエンス筋トレテーブル サテライト篇 第1回「教えて清水さん!~地域にひらくダンスの話~」の開催

8月22日開催のオーディエンス筋トレテーブル「教えて清水さん!~地域にひらくダンスの話~」は、13名の参加者と清水さんがテーブルを囲みお話を伺いました。参加してくださったみなさま、ありがとうございました。 清水永子さんは、「社会とアートを結びつける」をミッションに「楽の会」を設立し、コンテンポラリーダンスのプロデューサーをされた方です。ロプロプメンバーがAAF実行委員会でお世話になっているご縁で、今回お話を伺うことになりました。

最初に、2002年から2007年の5年間に渡りAAFが開催した「水上アートバス ダンスパフォーマンス」の検証映像を観ました。東京の浅草~日の出桟橋を結ぶ(一般客が乗船する)定期便でダンサーが隅田川を題材にパフォーマンスをするものです。

劇場ではないまちなかでパフォーマンスをすることは当時としては実験的な試みだと言い、上演するため様々な制約があったそうです。特に第1回目の2002年は、音響や照明は使えない、船の観光案内(放送)が流れる、船の後方にあるデッキのみで上演、一般客が驚かないように静々と行うなどの条件があったそうです。

がんじがらめの制約の中ですが、清水さんは「ダンスを普段見ていない人がコンテンポラリーダンスに『遭遇する』ことが面白い」と考えるとワクワクして、調整に走り回ったそうです。

出演したダンサーは、あいちトリエンナーレ2013の時に長者町会場でパフォーマンスしたほうほう堂や愛知県出身のダンサー、伊藤キムなど、現在は有名なダンサーが出演しています。
清水さんがダンサーをオファーする条件として、水上バスの制約を自分のものとして受け入れパフォーマンスができるダンサーを選んだそうです。観光案内の放送や飲食販売員を自分のパートナーとしたり、船が橋の下をくぐる際の暗がりを利用して場面転換をするなど、ダンサーはそれぞれアイディアを考えてパフォーマンスしたそうです。
ダンスファンの評価はもちろん良かったのですが、一般の観光客の反応も「意味は分からないがパフォーマンスに遭遇できたことは良い思い出になった」との声を頂いたそうです。


映像を見終えた後、参加者からの質問に答える形で清水さんがプロデュースしたダンスやプロデューサーのお話を伺いました。 ダンスを普段見ていない人が、コンテンポラリーダンスに「遭遇する」ことをコンセプトに活動した清水さん。アートが日常生活に緩やかに入ることで、物の見方が多様になるのではないかと考えているそうです。
ダンスやアートに興味がさほどない方が、清水さんプロデュースの公演を観たそうです。最初は近所つきあいのためと足を運んだそうですが、公演を見終えた後は「コンテンポラリーダンスが受け入れられる、面白いと思う自分だったと発見できた」と語ったそうです。

「市民が主体的にアートに関わってほしい、主体的に関わると面白さが出てくる。」と教えて頂きました。清水さんが関わっている墨東まち見世では、各々が自分の身の丈でやれることをやっているそうです。

最後に、議論を重ねることの大切さを教えて頂きました。反対意見も議論することで「そういう意見もあるよね」と協力するようになるといい、時間をかけてもっと自分の言葉で話し合ってほしいとメッセージを頂きました。

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