平成28年9月30日(金)に開催したツキイチテーブル#55 「あいちトリエンナーレ2016作品について、楽しく語る・聞く・考える」のレポートです(⇒参照)。
期末の9/30という多忙な時期、出席者数の懸念がありましたが、事務局の告知努力が実を結び、最終的には、ナビゲータも含め12名!!賑やかにも充実したテーブルになりました。お忙しい中、ご出席の皆様には、御礼を申し上げます。
出席者の方々は、舞踊評論家や演劇、芸術祭推進の方、テルミン奏者、ガイドボランティア、カメラマン、あいトリをずいぶん見た人、あまり見ていない人、等々、多士済々。
キャラバンガイドブックを片手に、大型ディスプレーに映し出されたあいトリ全作品の撮影画像(動画)を見ながら、感想を述べたり意見交換を致しました。作品概要やキュレータorアーティストから聞いた事、会場で見かけたトピックなど、話題てんこ盛りでした。
■愛知芸術文化センター
◇芸文10Fからスタートして、取り上げた最初の作品は、ジェリー・グレッツィンガーの空想の地図。
記者ツアーの画像を多用したので、そこには作家方々の他に、あいトリキュレータで作品説明役の拝戸雅彦さん(※あいちトリエンナーレ2016:国際展チーフ・キュレーター、愛知県国際芸術祭推進室主任主査)のお姿があちこちに。
「あ、拝戸さん」「あ、また拝戸さん」と作家以上の人気。
◇アローラ&カルサディーラ《グレート・サイレンス》は、写真撮影禁止で画像が殆どない為、スクリーン上のメッセージ文をメモした文書を紹介するなど、ちょっとした工夫も。オウムが語る人類以外の未知の知性とのコンタクト。宇宙だけでなく、身近にもいるよ、との言葉。
「舞台はプエルトリコ。って何処?」
「3択問題①南米、②カリブ海、③アフリカ」(正解は②、正解率6割)
◇マークマンダース《サイレント・スタジオ》は、“注目作品“とナビゲータが独断の説明。粘土彫刻と思いきや、実は彩色したブロンズ。ひび割れた粘土(のような)表面、手足を欠いた身体。作家のアトリエを再現したインスタレーション。
「作家は『建物としてのセルフポートレート』といい、自画像なのだと」
「えー!そうなの!?」「あ、大きい犬を反対側から撮ってる」
「いいの、ダメとは言ってないし」
◇大巻伸嗣《Echos-Infinity》は、自ずと知れた、あいトリ2106のメインディッシュ。だだっ広い展示室に巨大な作品。岩絵の具を1トン使ったとか、型紙の上から岩絵の具を振りかけ、余った岩絵の具をグラスに入れて展示、それが108本だとか・・・あまりの話題性に語りつくされ感で、何言おうかと。
「その前のマーク・マンダースから大巻伸嗣への流れが、結構評判いいみたい」「そ、でかい作品の前後ってかすれてしまいそうだけど、マークやるじゃん」「ん、流れがいいね」
◇芸文8Fの始めは、味岡伸太郎。《峠へ》は、愛知県の県境70ヶ所の粘土を採取し、絵画に仕立てる。「愛知県は、よい粘土が豊富、選ばずに採取したものが、絵になる-味岡伸太郎」「あいトリ2016カラーは、瀬戸の粘土の色でもある」「おー」
◇田附勝の東北シリーズ写真作品と岡部昌生《被爆樹》は、東北大震災と福島原発問題で関連。重い話題だけに、もっと時間のある時に話をしたいと思った。
◇西尾美也《パブローブ》 衣類の図書館としてのパブローブ。
「衣服を交換する事による、他人とのコミュニケーションですね」
◇名古屋市美の入口、ジョアン・モデ《NetProject》 名古屋、岡崎、豊橋でお客さまによる毛糸を積むんでいく作品。最後の一週間は、ひとつにまとめて、芸文で展示。
「ひと、少なかった」
「休日は、子供連れが結構きていた」
「雨の後でも、そんなに濡れていない」
◇ノミン・ボルド《火》《水》
モンゴルの作家。大きなキャンバスの上に、細かな人々(骸骨、男女、宇宙飛行士etc)が沢山描かれている。
「他のモンゴル作家でも、この様な曼荼羅様の絵を見た事あり」
「それ、モンゴルの絵画様式としてあるらしい」「ほー」
◇プロデュースオペラ《魔笛》 ガエタノ・デスピノーサ指揮×勅使河原三郎演出
勅使河原さんの演出による、歌劇とダンスの融合。これまでの歌劇としての演出とはかなり違ったものになっている(と思う。これまでのものを見てないので断言できないが)
「舞台装置や衣装が、所謂、“歌劇”の様な豪華賢覧ではなく、かなりシンプルなつくり」
「神官のスタイルは、ボーリングのピン。童子のそれは、ヒトデの様」
「その動きが面白かった」
「大小いくつものリングが、いくつもの場面を表していて興味深い」
■栄会場:旧・明治屋ビル)
◇端聡(はたさとし)《液体は熱エネルギーにより気体となり、冷えて液体に戻る。そうあるべきだ2016》
荒れたコンクリート剥き出しの部屋に、黒い鉄の器と白い水蒸気が印象的な作品。
「上向きサーチライトで加熱された水は水蒸気になり、パイプの水に冷やされて水に戻る」
「んー」「そういう循環」
「加熱された水は蒸発しきってなくなるとか」
「時々ボランティアが、コップで水を補給している」
「あー」
◇山城知佳子(映像作品)《土の人》
空から落ちてきた土(種?)により、目覚める“土の人”。トンネルをくぐり抜けて頭を出した世界は、戦争(沖縄戦)、基地反対運動等々。最後は、満開のユリの中で、土の人を歓喜する拍手で終わる。
「いつもながら解釈の難しい作品」
「土の人って結局何?」
「沖縄のようであり、そのものでもないかも」
「映像作品は、別途、お話しの場を設けた方がいいかも」
■長者町会場:八木兵錦6号館
◇今村文さんと言えば、「花を描く」画家です。これまでは、エンカウスティーク(蜜蝋画)という技法による絵画でしたが、今回はそれに加えて、水彩で描いたものを切取り、更に紙に貼りつけたコラージュ作品を出展。ナビゲータ独断で、絵画イチオシに。
「好きなんだ」「女性に甘いな」
「展示場所がどうもね」
「芸文展示の方がスペース的によいが」
■岡崎会場:石原邸
◇柴田眞理子《コンポジション 鈍色と共に》 陶器作品
古い瓦を、壁を背に並べる。その一部が、陶器の展示BOXとなっている。黒い瓦に囲まれた白を基調の器が印象的。石原邸の目玉。(ナビゲータ独断)
「展示の一部は、陶器を展示台から他の台へ、手持ち移動ができる」
「つまり作品を手で触れても良いってこと?」「いいねー」
■豊橋会場:水上ビル
◇ラウラ・リマ《フーガ Fuga》 空きビルの1F~4Fと屋上を小鳥の為の大きな鳥かごとした。部屋の中には、手乗り文鳥が100羽。窓の外へと誘う様なオブジェが部屋の中に置かれる。鳥かごから自由な空を目指す文鳥を見た人が、自身も心を大空に向ける事が出来るのか。
「小鳥は、窓の外を覗くというより、押入れの様な狭い所に集まっていた」「大空に興味あるのかな?」「屋上では、網の隙間から間違って外に出た小鳥が、中に入れなくて騒いてた」「籠の中の方がいいんだ」
~~~
話題に上った作品と会話の一部を掲載しました。ツキイチテーブルの雰囲気が、少しでも伝えられたら良いのですが。皆さん、もっと話したい事があったと思いますが、あっという間に2時間が経ちました。
次回は、トリエンナーレ終了後、あいトリ2016に関係したテーマにて、開催します。
今回、ご都合のつかなかった方も、ぜひお越しください。
0 件のコメント:
コメントを投稿